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フランス額装家が教える 「額」を使った住まいのアレンジ術

フランスで額装を学び、兵庫県・芦屋を拠点に、額装の受注制作のほか、額装教室を開いている額装職人の向井理依子さんに、上手な額の飾り方について教えていただきました。

point
1.写真や絵を引き立たせる技術「額装」
2.額を飾るときは、自分の感覚を大切に
3.飾り方のルールとアレンジ方法
4.まずは、小さいスペースからはじめよう

写真や絵を引き立たせる技術「額装」

「額装」とは、写真や絵などの作品を額にそのまま入れて飾るのではなく、作品のまわりを装飾し、さらに額縁とコーディネイトすることで、より引き立たせるためのテクニックです。作品のまわりの「マット」と呼ばれる台紙部分を装飾するテクニックが何十通りもあります。

向井さんは、お客様から作品を預かり、額装をするのがメインの仕事ですが、フランスで学んだ多くの技術を額装教室で教えています。

額を飾るときは、自分の感覚を大切に

「好きな絵を額で飾りたいなぁ」と思っても、躊躇してしまうことがありませんか?額装教室の生徒さんの中では、どんな作品を飾ったらいいの?サイズは?バランスは?など、いろいろと考えてしまってできないと言う人が多いのだとか。

向井さんは、「考えすぎず、まずやってみて」とアドバイス。最初から完成をめざすのではなく、とりあえず好きな作品をひとつ、飾ってみる。何か足りないなと思ったら、足してみる。難しいことは考えずに、自分の感覚で心地いいと思う場所に飾ることが第一歩のようです。

飾り方のルールとアレンジ方法

額のある暮らし

感覚だけでなく、設置の基本ルールを知っていると、より上手に飾れます。たとえば畳の部屋は、座って過ごすところなので、座った時の目線の少し上に飾るのがいいと言われています。リビングは、立ったり、歩いたりする場所だから、立ちあがった時に一番よく見える場所に飾ります。

向井さんは、まわりに何もない壁面に額を飾る時には、1個だけ飾ってみて、それだけでは寂しいと思ったら観葉植物を近くに置いてみる、まだ足りなかったら椅子を置いたり、照明を置いたり…額だけで壁面を完成させるのではなく、他の物を足してバランスを取ることをおすすめされています。

まずは、小さいスペースからはじめよう

いきなりリビングなどの広い空間に大きな額を飾るというのは、ハードルが高いかもしれません。そんな時は、自分の部屋や、お手洗いなどの小さい空間から始めます。小さい壁に小さい額をいっぱい飾るとそれだけでステキな空間になります。逆に大きい空間に小さい額をいくつも並べると、うるさくなるので注意が必要です。

大きい空間に、額を複数個飾りたい場合には、まず大きい額を飾り、片側に縦長の額を、反対側に小さい額を上下2つ並べたり、大きい額の左右に小さい額を配置するという方法なら、バランスが取りやすいのでおすすめです。

気を付けたいのは、廊下などの狭い場所には、人がぶつかる可能性があるので、厚みのある額を飾らないこと。ソファの上に飾る場合には、ソファと壁の間に額を飾ります。日本は、地震が多いので、万が一落ちた時にけがをしないように配慮をしておきましょう。

お客様が持ってこられた作品を額装する時には、部屋のどこに飾るか、壁の大きさ、家具、好みのインテリアなどを確認するほか、作品の持つ背景なども聞いた上で、額装の提案をされています。
色、柄、厚み、素材、さまざまな額縁のサンプルの中から、作品とマットの組み合わせを考えて提案。お客様が選ぶこともあり、意外な組み合わせがしっくりくることも。

――次回は、「マネしたい!フランス額装家の住まいのディスプレイ術」をご紹介します。

取材協力
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Profile
向井理依子(むかい・りえこ)さん
額装職人。額装を学ぶために2001年に渡仏し、額装の学校で学びながら、額装店で修業、フランスの額装家の国家資格を取得する。帰国後は、額装会社に勤務し技術とともに提案力を磨く。独立後は、 芦屋にアトリエを構え、個展や注文制作、額装教室を開いている。
HP:「art d'encadrement(アールダンカードルモン)」 http://encadrement.jp/