マネしたい!フランス額装家の 住まいのディスプレイ術
額装職人の向井理依子さんは、アトリエとご自宅を中古マンションのリノベーションで手に入れました。リノベーション時のこだわりと向井さんならではのディスプレイ術をお聞きしました。
point
1.アトリエ+住居スペースはマンションリノベで
2.白い箱が作品を引き立たせる
3.小さな部分にこだわることで大好きな空間に
4.私だけの大好きなコーナーを作る
アトリエ+住居スペースはマンションリノベで
向井さんはフランス留学から帰国後は額装会社に就職。仕事をしながら、休みの日は額装教室を開催するという多忙な生活を送られた後、独立。現在のアトリエをオープンされました。
アトリエ兼住居探しは、なかなか希望にあうものが見つからず、困っていたとき、リノベーション会社から、広すぎて買い手がつかずにいた当時築30年を超えた中古マンションを提案されました。6LDKの間取りだったのをアトリエ+住居1LDKにリノベーション、隠れ家的なアトリエと住居が完成しました。
白い箱が作品を引き立たせる
アトリエは、額装のサンプルのジャマにならないように白い箱のような空間を依頼。ほとんどの壁を取り壊し、広々とした白い空間をつくりました。
玄関を入ってすぐ右側には、深いグリーンの大きなドアが。イギリスのアパートメントで使われていたものを塗装し、アトリエの入り口にしています。
アトリエに入ると、壁に取り付けられた色とりどりの額縁のサンプルが目に入ります。
側面の壁は、額装教室用の額装サンプルが飾られているほか、向井さんの好きな作品をご自身で額装したものや、個展で作られた作品などがたくさん飾られています。
小さな部分にこだわることで大好きな空間に
住居スペースは、真っ白のスッキリとした空間。広々としたリビングは、一角に収納のためのコーナーを作り、閉鎖的にならないように壁にフランスのアンティーク窓を付けています。床は、幅広の古材風の床材を使用。貼る際、サイズをバラバラに、隙間をわざとあけてもらったというこだわりの床です。
玄関には、サイズ違いのアンティークの鏡が飾られています。「姿見の代わりにいいなと思い飾ってみたけれど、実際は、肝心の部分が見えなかったりして、姿見としてあまり機能していないかも…。」玄関は、まだ未完成という向井さん、「また何かいいものが見つかったら足していけばいいかな」と、10年たった今も住まいづくりを楽しんでおられます。
私だけの大好きなコーナーを作る
家族で暮らしていると、趣味が合わないこともあると思います。その時は、自分の好きなコーナーを1つだけでも作る、それだけで生活に潤いが出ると思います、と向井さんは話されます。
「わが家は、私も夫もスッキリした空間が好きで家具などは何も置いていませんが、唯一ダイニング横の棚が、私の大好きなものを飾るスペースになっています」
ダイニングの棚に置かれている物は、サイズや種類が違うにもかかわらず、まとまっています。「ここはオブジェ、ここはナチュラルなものというようにコーナーごとにテーマを決めることで、統一感が出るのだそう。
作品をディスプレイする時の余白の取り方のコツをお聞きしたところ、「大切な作品をディスプレイする時、いろんなものを一緒において埋もれさせるのではなく、それを見せるためにわざと余白を取ったり、真っ白な空間にポツンと置いてみたりします」
「額装も、余白が少ないより、ゆったり取る方が、作品が高級に見える。その作品のために額装した、という感じが出る」と向井さん。住まいでも余白を大切にディスプレイされていました。
――次回は、「額装に挑戦!好きな写真や大切な物をもっと素敵に」をご紹介します。
額装職人。額装を学ぶために2001年に渡仏し、額装の学校で学びながら、額装店で修業、フランスの額装家の国家資格を取得する。帰国後は、額装会社に勤務し技術とともに提案力を磨く。独立後は、 芦屋にアトリエを構え、個展や注文制作、額装教室を開いている。
HP:「art d'encadrement(アールダンカードルモン)」 http://encadrement.jp/