育て方を工夫すれば、どんな植物もイキイキ育つ
数年前から人気が高まっている「インドアグリーン(観葉植物)」。観葉植物の専門店「cotoha(コトハ)」店主の谷奥俊男さんによると、本来、外に生えている植物を室内用に順応させるために光を遮光させて育てたものを「インドアグリーン」と言って販売しているのだとか。観葉植物をご家庭で枯らさずに育てる方法を教えていただきました。
point
1.植物が育ってきた環境に近づける
2.照明の光で観葉植物が育つ
3.風通しのいい場所で、植物も人も快適
植物が育ってきた環境に近づける
「育てやすい、強い観葉植物はありませんか?」と買いに来られるお客さまが多いそうですが、谷奥さんは「枯れにくい、強い観葉植物より、自分の欲しい植物を選んでください。植物の育ってきた環境に合わせることで枯らすことなく育てることができます。観葉植物がお客様の部屋の環境に順応できるようにアドバイスしますよ」と返答するそうです。
ーー「部屋の環境に順応できるように」とはどういうことでしょうか?
「植物を置く部屋が暗い場合、植物は、その場所の明るさに順応しようと不要な葉を落とします。例えば光が100%当たっている場所で育った植物を購入し、光が50%程度しか当たらない部屋で育てると、葉っぱが落ちてしまうのです。そして、そのまま放っておくと完全に枯れてしまいます。葉っぱが落ちてきた時点で補光してあげることで葉落ちを止めることができます」。
「『cotoha』では、購入されるときその植物をどんな場所に置かれるのかを確認し、店頭との照度差ができるだけ少ない環境で育てられるようアドバイスしています。植物を部屋の環境に順応できるように工夫することで家でも元気に育てることができますよ」。
照明の光で観葉植物が育つ
「観葉植物は、本来は外で育つ植物を遮光した場所で慣らした植物だということを知った上で育てて欲しい」と谷奥さん。では、太陽の光が当たらない場所で育てるにはどうすればいいのでしょうか?
「調べて分かったのは、照明の光でも植物は育つということです。実際に環境に順応できずに葉を落とした観葉植物に照明を当てることで環境に順応させることができました」。
谷奥さんはどんな照明がいいのか、実験をして数値化しています。特別な照明でなく、電気屋さんで買えるようなLED照明で十分なのだとか。
「具体的に言うと、植物に必要なのは、明るさではなく『PPFD』という光合成ができる量子が光の中にどれだけあるか。『PPFD』を測ることで照明をどれくらい植物に当てればいいかがわかります。
ご家庭の場合、『PPFD』を図るのは難しいのですが、例えば「エバーフレッシュ」の場合、ほとんど陽が当たらない室内でも100W相当のLED電球を約1mの距離から12時間ほど照射してあげることで、元気に育てることができます」。
風通しのいい場所で、植物も人も快適
また、観葉植物をイキイキ育てるためには、風通しも大切。風通しが悪い場所に置くと、虫がついたり、病気にかかって枯れてしまうことがあります。
「最近のマンションは24時間換気なので、あまり問題はありませんが、古いマンションの場合、気密性が高いのに換気不足の場合があります。」と谷奥さん。
「特にオフィスなどでは、換気が不足していることが多いのです。風通しが悪い場所では二酸化炭素濃度が高くなります。二酸化炭素濃度が高い部屋では、眠気を催し、仕事に影響が出てしまいます。人にとって環境が悪い場所は、植物にとっても環境が悪いのです」。
谷奥さんは、「二酸化炭素濃度は、家庭では計測できないため、風通しの悪いと感じる場所に観葉植物を置いている場合は、ぜひ、こまめに霧吹きをしてください。霧吹きで自然な風が起こり、葉に水を与え、病気や害虫を防ぎます。サーキュレーターなどで空気を拡散するのもオススメ」とアドバイスされています。
――次回は、「快適な住まいづくりに役立つ観葉植物」についてご紹介します。
観葉植物専門店「cotoha」と生花とドライフラワーを扱う「Blowmist BOOM」のオーナー。「枯らしてほしくないプロジェクト」として、購入前のセミナーのほか、全国の園芸店を訪ね、観葉植物の知識の向上に取り組んでいる。LINE@では観葉植物に関する相談にも応じている。
「cotoha」HP:http://www.cotoha.me/